大学で日本画を専攻した谷田さん。ものづくり企業が集まる合同就職説明会で出会ったのが、五十嵐製紙のFoodPaperだった。「原料が野菜という発想に驚きました。その後、和紙の里(今立地区)を訪れて、地域の雰囲気や空気感、働く環境、働く人達の人柄にも惹かれて、ここで紙漉きをしようと決めました」。現在は、塵選り(ちりより)と紙漉きに従事する。塵選りとは、和紙の原料内にある塵(不純物)を取り除く、細かくて根気の要る作業である。「日々、発見や気づきがあって、紙漉きの果てしない奥深さを実感しています。特に紙漉きは二人一組で行うので、息の合わせ方が大切です。ほんの少しの所作で出来上がりが違います」。学生時は自分の想いを言葉にするのが苦手で、内気だったという谷田さん。「仕事を通じて自分の想いをもの(和紙)に託すことができるようになったし、自分を知る好機にもなりました」。自分に向き合いながら良い紙を漉き、より良いもの作りを追求していく。
「職場の皆さんは凄い人ばかり。仕事はもちろん、人間的にも成長していると思います」と谷田さん。プライベートな時間は、やはり絵を描くことがメイン。「絵を描くことは楽しいし、リラックスにもなっています。仕事を生かして、紙漉きの様子を絵にすることもあります」と谷田さん。過去には大学時の友人と個展を開催した実績も持つ。また、休日には様々な職種の職人達と交流を深めているよう。「遊びに行ったり、鍋パーティをしたり、武生中央公園のだるまちゃん広場や日野川でピクニックすることも。いろんな話を聞くことができて刺激になっています」。
取材内容は2023年3月現在のものです。